透析患者さんはコロナウイルスに感染すると重症化すると言われています。現状での日本国内の透析患者さんの感染状況を関する記事です。
日本国内の透析患者さんのコロナウイルス感染状況
日本透析医学会の調査報告では、累積感染者数は259名、死亡者数は37名となっております(2020年9月25日時点)。現在透析患者さんは約34万人いますので、感染者数は全透析患者さんの0.076%となります。
世代別では見ますと、全国では20~30代の感染者が増加しておりますが、透析患者さんでは60~70代の感染者が多いです(60代62名、70代70名)。これは透析患者さん自体がご高齢の方が多いためと考えられます。
年代 | 40歳未満 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代 | 70歳代 | 80歳以上 | 情報なし | 全体 |
患者数(人) | 3 | 28 | 40 | 62 | 70 | 53 | 3 | 259 |
死亡者数(人) | 0 | 0 | 4 | 6 | 17 | 10 | 0 | 37 |
死亡率(%) | 0 | 0 | 10.0 | 9.7 | 24.3 | 18.9 | 0 | 14.3 |
海外の透析患者の感染状況
海外における透析患者の感染状況をご紹介したいと思います。
カナダ・トロントの透析施設での集団感染
カナダのトロントの透析施設ではコロナウイルスの集団感染が発生しました。透析患者237名とスタッフ93名のうち、透析患者11名(4.6%)、スタッフ11名(12%)が感染したと報告しています。感染経路調査では、患者1名・スタッフ1名が一次感染者となり、その後透析室、透析室への共有シャトルバスで感染したと特定されています。
この透析室では2020年4月7日に最初の2例が発症しその2日後に3例の患者さんが発症し、そこでアウトブレイクと判断、全患者・全スタッフにPCR検査を行っています。PCR検査の結果で22名の感染者が判明したが、その半数以上が無症状でした。
透析患者、スタッフともに診断時には無症状の症例が半数程度あり、症状によるスクリーニングだけではわからない無症状な感染者もいること、更なる感染を防ぐためには迅速なPCR 検査を行うこと、飛沫感染と接触感染予防策が重要だと思われます。
中国・武漢の透析施設での感染状況
2020年1月1日から3月10日で中国・武漢市内の65施設の透析治療を受けている7,154 名の透析患者さんのうち、154 名がコロナウイルスに感染したと診断されました。平均年齢は63.2歳で、発熱は51.9%のみで、21.4%が無症状でした。
武漢でも無症状の感染者が20%以上もいることから、PCR検査でスクリーニングを行うことで、新規感染者の減少に有効だったようです。
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今回の記事は以上となります。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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