PEPA膜の魅力とは?合成高分子膜の中でも優れた特徴を持つ透析膜を徹底解説

透析
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PEPAってどんな透析膜なの?

透析患者さんにとって、ダイアライザの膜の種類は重要です。しかし、膜の種類は多くて、それぞれの特徴を把握するのは大変です。そこで今回は、合成高分子膜の中でも優れた特徴を持つPEPA膜について、徹底的に解説していきます。

この記事では、PEPA膜の魅力として以下の3点を紹介します。

  • 親水化剤(PVP)を含まないこと
  • 吸着除去特性があることこと
  • エンドトキシン阻止能があること

この記事を読めば、PEPA膜の性能や適応症について理解できるだけでなく、自分に合ったダイアライザの選び方も分かります。透析患者さんや医療関係者の方はぜひ参考にしてください。

ドイリー
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今回の記事はこんな人におすすめ!

  • 透析膜の種類と特徴を知りたい方
  • これからPEPA膜を使うにあたり、どのような患者様に使うか悩んでいる方
  • 合併症に困っている患者様がいる方

PEPA膜ってなに?

PEPA(ぺパ)膜とはポリエステル系ポリマーアロイの略称で、合成高分子膜の中の一つでポリアリレート樹脂ポリエーテルスルホン樹脂の2種類のポリマーをブレンドしたものです。

ドイリー
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”Alloy(アロイ)”という言葉は、”合金”と言う意味ですが、ここでは2種類以上の異なる高分子を含んだポリマーを指します。

PEPA膜の特徴

PEPA膜で使用されるポリアリレート樹脂とポリエーテルスルホン樹脂はどちらも疎水性のポリマーです。一般的に透析治療で使用さするには合成高分子は親水化剤としてポリビニルピロリドン(PVP)を添加し親水性を持たせますが、PEPA膜はPVPを含む親水性PEPAとPVPを含まない疎水性PEPAの2種類が発売されています。また親水性PEPAには親水化剤の添加量をコントロールし溶質除去性能をコントロールしています。

PEPA膜の種類
  • 疎水性PEPA膜
    • 親水化剤:なし、除去性能:低い
  • 親水性PEPA膜
    • 親水化剤:少ない、除去性能:高い
    • 親水化剤:多い、除去性能:低い

膜の構造

中空糸膜の内表面と外表面に緻密層、膜内部に支持層をもつ3層構造の非対称構造膜です。

ドイリー
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緻密層は、厚さ1μm以下で、透過できる物質の大きさを決めています。支持層は膜の強度を維持するためのもので、物質透過を妨げないように適度に空間を形成しています。

ドイリー
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中空糸膜の外表面に緻密層があるのはPEPA膜の特徴で、他の合成高分子膜は2層構造です。

溶質除去特性

PEPA膜の溶質除去の特徴は、蛋白吸着能があるということです。特に分子量25,000Daの中分子量物質の吸着率が高いとされています。

ドイリー
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実臨床では、広い分子量領域に吸着されることが確認されています。特にPEPA膜でCHDFを行った結果、炎症性サイトカインであるIL-6が低下が見られることから、分子量30,000Daの吸着特性が示唆されます。

親水化剤の溶出

一般的に合成高分子膜では親水化剤であるPVPや開孔剤など添加していますが、PEPA膜には開孔剤が使用されていません。またPVPを含まないPEPA膜もあるが特徴です。そのため、これらの溶出の心配がありません。

エンドトキシン阻止能

PEPA膜では中空糸の外表面(透析液側)にも緻密層があるため、透析液が汚染された場合でも緻密層でエンドトキシンが流入を緻密層で捕捉されます。透析液側に緻密層を持たない透析膜では、血液側の緻密層までエンドトキシンが侵入する可能性があります。

ドイリー
ドイリー

このPEPA膜の特性を生かして、透析液の清浄化を行うETRFにも使用されています。
またETRF性能評価では、エンドトキシンの吸着性能の可能性もあることが示唆されています。

PEPA膜の特徴のまとめ
  • β2-MGなどサイトカインまで吸着により除去できる可能性があるため、透析関連性アミロイドーシスの予防に有効
  • PVPが含まれない疎水性PEPA膜は、PVPによるアレルギー反応が起こりにくい
  • 中空糸外表面の緻密層により、エンドトキシンの侵入を阻止できる

PEPA膜を使用した製品

ダイアライザ

疎水性PEPA膜

FLX

FLXは添加剤を極力使用しない疎水性膜であるため、吸着による除去やPVPアレルギーを起こさない特徴があります。しかし、中空糸の内表面に蛋白質や血小板の吸着が起こる為残血が起きやすくなります。

親水性PEPA膜

FDX、FDY、FDW、FDZ

FDXやFDYはアルブミン漏出量を抑え幅広く使用できるスタンダードタイプで、FDWやFDZはβ2-MGから大分子量物質の積極的に除去を目的としています。

ヘモダイアフィルタ

親水化PEPA膜

GDF、GDF-M

GDFは積極的な中分子・大分子物質の除去を目的としておりヘモダイアフィルタの中でも上位の除去性能を有します。
GDF-Mは、高齢者や低栄養状態を考慮したアルブミンや蛋白質の漏出量を抑えたフィルタとなっています。

PEPA膜はこんな患者様に使いたい

  • 痒みやレストレス症候群で困っている患者様
  • PVPによるアレルギーが困っている患者様

痒みやレストレス症候群で困っている患者様

痒みやレストレス症候群の原因はわかっておりませんが、大分子であるα1マクログロブリンをターゲットとした大分子領域の除去率を30%まで引き上げると緩和されると言われております。

最適なダイアライザー・ヘモダイアフィルター
  • FDZ
  • FDW
  • GDF
ドイリー
ドイリー

大分子領域の除去率を上げると、その分アルブミンの漏出量も多くなりますので、栄養状態の管理に注意が必要です。

PVPによるアレルギーに困ってる患者様

透析膜に親水性を持たせるために添加される親水剤のPVPが溶出することによってアレルギー反応を起こすことがあります。そのような透析患者さんにはPVPが含まれていない透析膜がおススメです。

最適なダイアライザー・ヘモダイアフィルター
  • FLX

以上、PEPA膜の魅力として、親水化剤(PVP)を含まないこと、吸着除去特性があること、エンドトキシン阻止能があることを中心に解説しました。
PEPA膜は合成高分子膜の中でも優れた特徴を持つ透析膜です。透析患者さんにとって、ダイアライザの膜の種類は重要な選択肢です。自分に合ったダイアライザを選ぶことで、透析の質や生活の質を向上させることができます。
この記事が透析患者さんや医療関係者の方の参考になれば幸いです。PEPA膜に関するご質問やご相談はお気軽にお問い合わせください。

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