シャントって何のこと?
透析患者さんにとって命綱ともいうべき「シャント」ですが、今回はシャントについて詳しく知らない方への記事です。
シャントとは?
バスキュラーアクセスとは、血液を体から脱血したり、返血したりするアクセスルートのことを言います。
バスキュラーアクセスの種類に「シャント」と「非シャント」があります。
シャントとは、動脈と静脈をつないで吻合しているところを言います。
現在、日本でシャントを作って透析治療を行うことが一般的です。
シャントの種類とは?
「シャント」と「非シャント」があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
シャント
- 自己血管シャント(AVF)
- 人工血管シャント(AVG)
シャントは、開存率も長く透析治療で広く使用されていますが、動脈と静脈をつなぎ合わせる手術をしますので、心臓に負担ががかります。
シャントには患者さん自身の血管をつかう「自己血管シャント(AVF)」と人工血管をつかう「人工血管シャント(AVG)」があります。
日本では、自己血管シャント(AVF)が一般的で全体の9割になります。
シャント | メリット | デメリット |
自己血管内シャント(AVF) | 最も長持ち、感染のリスクが低い | 個人差がある(血管の走行や太さなど) |
人工血管内シャント(AVG) | AVFが作れない患者さんでも作れる | 感染や閉塞がしやすい |
自己血管内シャントが一番長持ちでありますが、これには個人差があり透析室スタッフや患者さん自身でのシャント管理が重要となります。
人工血管内シャントは、自己血管での内シャントが作れないときに作られます。しかし、人工物を体内に入れるため感染や閉塞のリスクがあります。
自己血管(AVF)の5年開存率は60~75%。人工血管(AVG)の5年開存率は30~45%であり、AVFの方が長持ちします。
非シャント
- 留置カテーテル
- 動脈表在化
非シャントでは、心臓に負担がかからないため心臓の機能が弱っている患者さんや、血管が細くシャントが作れない患者さんに用います。
非シャント | メリット | デメリット |
留置カテーテル | 穿刺が不要 | 感染のリスク、脱血不良を起こす |
動脈表在化 | 最も生理的で負荷が少ない | 止血困難、穿刺ミスによる血腫ができる |
留置カテーテルは、首や足からチューブ(カテーテル)をいれて治療を行います。カテーテルが入れっぱなしになりますので入浴などで注意が必要だったり、カテーテルの入っている部分を清潔にしておかなければなりません。
動脈表在化は静脈(返血側の血管)がないことがあります。一般的に動脈に返血をすることは推奨されていません。
最近は、動脈表在化と深い血管(深部静脈)をつなげて、表在化した動脈を返血に使用する場合もあります。
シャントを長持ちさせるために大切なこと
日常業務の中での注意点
- シャントの観察
→シャント音、腫脹、発赤、疼痛、血腫はないか - 血流は充分に流れているか
→治療中の脱血状態や、ピローを確認する - 静脈圧はいつもどおりか
→静脈圧がいつもより50%上昇で狭窄を疑う
毎回の治療開始前にシャントの状態を確認します。当てはまる項目があればシャントエコーや血管造影をして血管の状態を確認してください。
この3つのチェックでシャントトラブルの8割は発見できるといわれております。
患者さんが行う日常のシャント観察
- シャントのスリルはいつも通りか(触診)
- シャント音はいつも通りか(聴診)
- シャントの周囲に赤みはないか(視診)
- シャントの周囲に腫れはないか(視診)
- シャントの周囲に痛みはないか(自覚症状)
- シャントの周囲に熱はないか(自覚症状)
このような異常を見つけたら透析室スタッフまでご相談を!!
シャント管理やシャントトラブルの記事はこちら
患者さんご自身でもシャント音を聞いて頂くためにも聴診器の準備を!!
シャント管理に必須の聴診器に関する記事はこちら
聴診器をご購入を検討中の方はこちらの記事を参考にしてください。
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございます。
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