透析膜の基礎~透析膜に求めらる性能~

透析
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透析室で働いていると、こんな疑問を持ったことはありませんか?

透析膜って、何が違うの?
一番いい透析膜ってどれなの?

透析室で働いていて、こんな疑問を持ったとこはありませんか?
この記事では、このような疑問にお答えします。

一番いい透析膜の条件【透析膜に求められる性能】

①高い溶質透過性
②高い透水性
③溶質透過性と透水性の適度なバランス
④高い機械的強度
⑤可滅菌性、良好な生体適合性

峰島三千男.ダイアライザの過去・現在・未来.日腎会誌 2013;55(4):515-522.

これらの特性をすべて兼ね備えた透析膜が一番いい透析膜といわれるのではないでしょうか?では、それぞれを説明します。

高い溶質透過性

透析治療では、体内に蓄積した尿毒素の除去を行います。その際、尿毒素が透析膜の通りやすさを表すのが溶質透過性”です。その為、効率よく尿毒素を除去するためにも、透析膜には高い溶質透過性が求められます。透析膜の膜厚やポアサイズ、開孔率が関係してきます。

ドイリー
ドイリー

ポアサイズは透析膜に開いている穴の大きさのことで、開口率は穴が開いている割合のこと言います。

膜の厚み(膜厚)が厚いと尿毒素が通りにくくなり、薄くすると尿毒素は通りやすくなりますが透析膜が破れてしまう可能性がでます。

高い透水性

透析治療で除水を行う際に、透析膜の水の通りやすさを表すのが透水性”です。透水性が低いと、高い圧力をかけて除水することになり、血液に負担をかけてしまいます。その為、透析膜には高い透水性が求められます。HDFを行うにも高い透水性が必要

ドイリー
ドイリー

HDFは補液分も除水するため、HDに比べて透析器での除水量が多くなります。

溶質透過性と透水性の適度なバランス

溶質透過性を高めようとすれば、ポアサイズを大きくし開孔率を高くしなければなりません。ポアサイズを大きくすれば、大分子(アルブミンなど)が血液中から漏出される恐れが高まります。
近年、積極的に大分子を除去を目的とした透析膜が発売されていますが、患者さんの栄養状態などを考慮して使用しなければなりません。
透水性を高めようとすれば膜を薄くし、PVPを多く使用しなければなりません。膜を薄くすると膜強度が下がり膜が破ける(リーク)原因になります。

ドイリー
ドイリー

PVPは「ポリビニルピロリドン」のことで、透析膜に透水性を持たせる親水化剤の役割をします。

高い機械的強度

機械的強度が高いと膜を薄くすることができる為、溶質透過性や透水性を高めることが出来ます。

ドイリー
ドイリー

最近は、膜が厚くても隙間を多く作ることで溶質除去性能を高めた透析膜も発売されました。

可滅菌性、良好な生体適合性

透析膜は血液と直接触れる為、透析膜の滅菌が必要です。以前はEOG滅菌が使われておりましたが、残留物が問題となり現在はガンマ線滅菌高圧蒸気滅菌で行われております。
また、血液は異物との接触により生体反応が起こってしまいます。その為、良好な生体適合性が求められます。

生体適合性については、こちらの記事で詳しく説明しています。

まとめ

近年の透析患者さんの平均年齢は68.75歳で年々高齢化しております。高齢化によって低栄養が問題となりアルブミンの漏出量が多すぎると低栄養が悪化してしまいます。
しかし、大分子を除去する事で食欲がますという報告もありますので、一概に除去量を少なくすればいいわでもないように感じます。

よって、一番いい透析膜とは…

「患者さんの状態を把握し患者さんそれぞれに適した透析膜を選択すること」が、その患者さんにとって一番いい透析膜となります。患者さんの状態に合わせて透析膜を選択することが臨床工学技士に求められる使命だと考えます。

こちら記事では透析膜の種類を説明しています。

こちらの記事では透析膜を選ぶポイントをご紹介しています。

今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございます。

コメント

  1. […] […]

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