穿刺が苦手。
もっと穿刺をスムーズにしたい。
このような悩みをかかえている透析室スタッフは多いのではないでしょうか?
今回の記事はそんな希望を叶えてくれるかも…しれないポータブルエコーのレビューです。
結論:エコーは使いやすいが、エコー下穿刺そのものが難しい
今回初めてエコーを使ってみましたが、iVizAirリニアは使い勝手もよく透析室のベッドサイドで扱うのなら使いやすいと思います。
ただ、エコー下穿刺そのものに技術や慣れが必要で、普段、目視下で穿刺をやっている私としては、エコー下穿刺の方が難しく感じました。
しかし、穿刺前に血管の走行や深さをエコーで確認できるのは大きなメリットだと思います。それを行うだけでも穿刺の失敗はかなり減るのではないかと思います。
ポータブルエコーの必要性
穿刺は患者さんスタッフともにストレス
穿刺とは「針を体に刺して内部の液体を吸い取ること」で、透析治療において穿刺は週3回治療を行う前に必ず行うため患者・スタッフともにストレスのかかる医療行為だと思います。実際穿刺が苦手な方も多いのではないのでしょうか?
それは見えない血管を刺すために失敗も多く、透析治療では使用する針も太いため痛みも強いことがストレスの原因だと思います。
見えない血管を見ながら刺すことができるエコー下穿刺
現在は超音波診断装置を用いてエコー下で穿刺を行うことが増えています。しかし、一般的なコンソールタイプの超音波診断装置は大きくてベッドサイドに行うのは難しく、一つの部屋で多くの患者さんの治療を行う透析室で使うことが難しいです。最近では超音波診断装置も小型がされており、穿刺に特化したポータブルエコーも発売されております。
今回は富士フィルムの「iViz air リニア」のデモを行いましたの使用感などレビューします。
iViz air リニアの特徴
- ポータブルエコー
- プローブがワイヤレス
- プローブの先端が薄い
- カラードプラができる
- 2点間の距離が測れる
他のポータブルエコーと大きく異なる点は「プローブがワイヤレス」であることです。狭いベッドサイドで操作する場合、本体を置く場所も限られており、本体の置く場所・穿刺の位置によってはプローブのコードが穿刺の邪魔になることもあると思います。その点、ワイヤレスではそのような煩わしさはありません。
操作感
本体(タブレット)の操作
本体はSHARPのAQUOS SH-M12を使用しているの、操作はスマホの操作と同様に行えるため、操作で手間取ることはないと思います。
gain(ゲイン)の調整(明るさ調整)、depth(デプス)の調整(深度の調整)もスワイプ(画面を押したまま上下に動かす)で行え、またピンチアウト(二本の指を広げる)・ピンチイン(二本の指でつまむように縮める)でエコー画像を拡大・縮小ができる。このあたりもスマホの操作と同じでした。
初めてエコーを使う人にも扱いやすいと思います。
プローブの操作
一般的な超音波診断装置のプローブと比べるとプローブ自体にバッテリーが入っているため少し重さは感じます。またバッテリー分だけプローブが大きくなっていますが扱いにくさはありませんでした。
プローブ自体にフリーズボタンがついているのも使いやすかったです。プローブの操作に不慣れなので、血管の映しながら、プローブを固定して、本体を操作して静止画像を記録する、ってことが難しいのでプローブで静止画像をとれるの使い勝手が良かったです。
プローブにバッテリーを載せているので、連続使用でバッテリーが熱を持ちます。
プローブのバッテリーは、カタログ上「連続3時間」と記載がありました。実際に電源を入れて操作すると、1時間50分で本体のタブレットから「プローブの電池残量が少なりました」というメッセージがでました。プローブのバッテリーが一定以上減るとメッセージがでるものだと思います。まだこの状態ではプローブは操作できるので、そのまま操作を継続…結果、3時間15分でプローブの電源が落ちました。
バッテリーの寿命は2~3年で交換が必要なようで、交換費用が4~5万かかります。
エコー下穿刺
エコー下穿刺の使用感は、私自身エコー下穿刺の経験が少ないため、正確な評価は難しいですが、ワイヤレスのためコードが邪魔にならずに穿刺することができます。
プローブを薄くして穿刺の邪魔にならない設計にしてるようですが、実際は「薄いと何が違うのかな」って感じでした。これは私自身にエコー下穿刺の経験が少ないせいだと思います。
エコー下穿刺自体はに、技術の習得が必要だと実感しました。
一般的にプローブとの比較
幅 | 高さ | 奥行 | 重さ | |
一般的なプローブ | 65.0mm | 110.0mm | 25.0mm | 約100g |
iVizAirリニア | 57.9mm | 170.5mm | 29.0mm | 147g |
今回iVizAirリニアと比較したものは富士フィルムのFC1-Xのリニアプローブです。
画質
AQUOSのスマホをタブレットとしているのサイズは5.5インチで画面としてはコンパクトです。
メリット
- 持ち運びしやすい
- ベッドサイドで使いやすい、画面を見ながら穿刺ができる
→コンソールタイプのエコーや有線のエコーではプローブの長さの制限やエコー本体の置くスペースなどの理由により見やすい場所に画面を持ってこれない。ワイヤレスでは狭いベッドサイドに持ち込みやすい。 - 操作は違和感なく使える。ボタン操作などがわかりやすい。
- カラードプラがあるので血流の把握しやすい。
- 2点間の距離が測定できる
デメリット
- Bluetoothがつながらない、切れる。
- プローブを落としてしまう。
- 画面が小さい。
- プローブの連続使用時間が3時間と限りがある。
- タブレット端末は変更できない。BluetoothでつながってiVizAirのアプリを入れれば他のタブレットに変更できるかなと思ったのですが、SHARPのタブレットで医療機器として申請しているためタブレットの変更はできないとの事。
- 血流量は測れない(パルスドプラーができない)
連続使用時間3時間もあれば、1クールの穿刺はカバーできるので問題ないかと思います。
ワイヤレスのためプローブを落として壊すことも多いと聞きます。富士フィルムではサポートプランがあり、サポートに入るのは必須かと思います。
さらに、血流量(Flow)も測れたらもっと良かったと思います。
操作方法
実際の操作方法
- プローブとタブレットを充電する。
- 電源を入れてたプローブとタブレットを接続する。
※充電中は接続ができません。 - 患者情報を入力。
※今回はデモだったの患者登録は行いませんでした。 - スキャン画面を開いてエコーを開始します。
- エコー画像を静止画・動画で保存。
※2点間の距離を測定する場合は静止画にしてから計測する。 - 保存した画像を閲覧、出力する。
出力する場合はtype-Cのコネクタの接続コードが必要です。タブレット本体に写真フォルダに出力してタブレットとパソコンを接続して画像をタブレット外に出力します。
デモの申し込み方法
富士フィルムのホームページよりデモや商品情報について問い合わせることができます。私もエコーのことでフォームから問い合わせをしましたが、返信も早く対応もよかったです。
また富士フィルムの会員登録をするとやまびこ塾の動画を見ることができます。やまびこ塾では、エコーの講義動画やセミナー、症例報告なども載せてあるのでエコーに興味がある方は無料ですので一度見てみる価値はあると思います。
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今回の記事は以上となります。最後まで読んでいただきありがとうございます。
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