透析施設の医療従事者の仕事内容とスキルアップについて~看護師編~

看護
スポンサーリンク
Pocket

透析施設での看護師の仕事ってどんなことをするの?

透析治療は、腎臓が正常に機能しない人々にとって生命維持に不可欠な治療法であり、透析施設ではその治療を提供することが求められます。

透析看護師とは、腎臓の働きが損なわれた患者さんに人工的に血液を濾過する透析という治療を行う看護師のことです。透析施設で働く看護師の仕事内容は、主に透析の準備・シャント穿刺などの医療行為と、透析中の患者さんの看護、そして患者さんの健康管理・指導の3つに分けられます。透析看護師は、透析患者さんの生命を支える重要な役割を担っていますが、その一方で、決まった手順や時間を守るルーティンワークが多く、患者さんのストレスに対する心理的なサポートも必要とされます。
この記事では、透析看護師の仕事内容やメリット・デメリット、透析施設で働く看護師の平均給与や求人情報などをご紹介します。透析看護師に興味のある方は、ぜひお読みください。

透析施設での仕事内容

透析室での一日の業務内容

1.透析治療の準備

治療の前に透析機械の準備(プライミング)や点検を行います。使用する物品や薬剤に間違いないがないか確認したり、その日来院予定の患者さんのリストや状態を確認します。

ドイリー
ドイリー

看護師さんは、朝の申し送りで当日の患者さんの状態を確認しておきます。

2.患者さんが来院したら、受付や問診を行います

透析治療を始める前に、血圧や体重などを測定し、健康状態を確認します。問題があれば医師に確認し適切に対処します。

ドイリー
ドイリー

透析室では一つの部屋で一度に大勢の患者さんの治療を行います。そのため、感染症の疑い(インフルエンザなど)には、特に注意が必要です。
また、透析治療では抗凝固剤(ヘパリンなど)を使用するので、出血や転倒による打撲にも気を付けて聞き取ることが大切です。

3.穿刺を行い透析治療を始める

患者さんの状態に問題がなければ穿刺を行い透析治療を始めます。治療中は透析装置の設定の確認、穿刺部位の確認、バイタルチェックを行い血圧低下などの臨床症状に注意しながら、治療を行います。

ドイリー
ドイリー

血圧の変化が起きやすいには、治療の開始時と治療の終了です。特に治療の終了時は返血などで忙しくなることが多く注意が必要です。

4.治療終了したら抜針、止血やバイタルチェックなどを行います

医師に指示された治療条件(透析時間や除水量)が達成されたら抜針を行います。透析治療では除水することで血圧低下が起こりやすく、また疲労感も出ますので、抜針前の透析患者さんの状態の変化に注意が必要です。

ドイリー
ドイリー

透析治療では、除水を行うため血圧低下が起こしやすく、治療が終了した後も注意が必要です。離床時に血圧の変化がないか、退室時にフラフラしていないかなどの観察が大切です。

5.透析装置やベッド周りの消毒・清掃、次回の準備を行います

治療が終了したら、次の患者さんで使えるように透析装置の清拭をし、ベッド周りの環境整備を行います。

ドイリー
ドイリー

透析治療では、血液を扱う治療のため、感染対策が非常に重要です。同じ装置、同じベッドで複数の患者さんが治療を行うため、治療が終わった後の装置・ベッドの清拭は非常に重要です。

以上が、透析室での一日の業務の流れになります。

透析治療中に起こる血圧低下や気分不快などの臨床症状を監視しなければなりません。透析患者さんは、血液を機械的に濾過することで体内の蓄積した水分や老廃物を除去しますが、この治療中に体調が急変することがあります。そのため治療中は、患者の血圧や心拍数、血中の電解質バランスなどを常に監視し、異常があれば適切な処置を行います。
また、透析治療を行う中でもっとも不安になるのが穿刺だと思います。とくに透析治療では1分間に200ml以上の血液を体内から透析器に送る為に太い針を刺さなければなりません。また、透析患者さんのシャント血管は、週3回におよぶ反復穿刺で厚く硬くなっていることもあり、穿刺が一番苦手なスタッフも多いともいます。

透析室で働く看護師さんに求められるスキル

心情をくみ取る寄り添う看護

透析患者さんは週に12時間ほど治療に拘束されるだけでなく、食事や水分の制限、安静度の制限などもあります。その治療を何十年と続けていかなくてはなりません。透析治療を続けていく中で生活の制限や不安などに悩むことが多くあります。そのため、患者さんの心情を理解し、適切なアドバイスや励ましを行うことが重要です。また、透析患者さんの体調だけでなく、生活全般についてもアドバイスし、心身ともに安定した生活を送れるようにサポートすることも重要になります。

透析患者さんの生活指導やセルフケアへのサポート

透析治療は、自己管理が必要な治療法であり、患者自身が健康管理を行うこと(セルフケア)が求められます。医療従事者は、患者に透析治療に関する正しい知識を提供し、治療の理解を深めることで、患者が自己管理を行いやすくすることが重要です。
具体的な例としてはシャント管理があります。シャントは透析患者にとって命綱であるため、その扱いには注意が必要です。日頃から患者さん自身でシャントを観察することで、合併症の予防や早期発見につながります。

医師や他の医療従事者と協力して、患者の健康管理を支援

具体的には、医療チームとのコミュニケーションや協力、ケアマネージャーや訪問看護ステーションなどとともに生活環境も支援していく必要がある。

透析施設で働くメリット

透析に特化したスキルを身につけることができます

透析技能検定試験や透析看護認定看護師などの資格を取得することで、専門性を高めることができます。透析に特化しており、資格取得を目指せるため、スキルアップができます。

ライフスタイルの変化に影響を受けにくいです

透析施設では、決まった時間に患者さんが来院するので、シフトは比較的固定されています。また、夜勤や残業も少ない場合が多いです。ライフスタイルの変化に影響を受けにくく、家庭との両立がしやすいです。

患者さんと長期的な関係を築くことができます

透析患者さんは定期的に通院するので、看護師として心理的なサポートや生活指導を行うことができます。そのため、透析患者さんと長期的な関係を築けるため、信頼感ややりがいを感じられます。

透析施設で働くデメリット

透析で覚える知識やスキルは特殊なため、他の診療科では応用ができない

ほぼルーティンワークがメインであるため、やりがいを感じにくい

ルーティンワークがメインということは、毎日同じような業務を繰り返すことになります。これは、一定の安定感や効率性を生み出す一方で、飽きやすい人やチャレンジ精神が旺盛な人にとっては物足りなく感じるかもしれません。

土曜や祝日も関係なく働かなければならず、長期の休みも取りにくい

土曜や祝日も関係なく働かなければならず、長期の休みも取りにくいということは、プライベートの時間が少なくなる可能性があります。また、透析患者さんはお盆や年末年始が関係ないので、その時期も休めません

穿刺が難しいことや感染予防が重要

透析治療では主に16Gの穿刺針を使います。採血や注射で使用する針に比べると太いため、穿刺が苦手な看護師さんも多いと思います。また、透析治療では血液を扱うため感染予防をしっかり行い、自分自身を守るとともにスタッフが感染の媒体とならないように注意が必要です。

透析施設で働くのに向いている人

  • 決まった手順や時間をきちんと守って働くのが好きな人。
  • 高いコミュニケーション力を持ち、患者さんの心理的なサポートもできる人。
  • 進歩する医療技術に興味があり、常に学び続ける姿勢を持っている人。

透析施設で働く看護師の年収

透析看護師の平均年収は、経験年数や地域によって異なりますが、約370万円から480万円の間と言われています。日勤が基本で夜勤手当がない分、病棟勤務の看護師よりも低めになる傾向があります。ただし、透析クリニックではパートやアルバイトの求人も多く、時給は高めです。

スキルアップ

  • 透析室で働く看護師は、透析治療に関する専門的な知識や技術を身につけることができます。例えば、血液透析の原理や機器の操作、合併症の予防や対処、患者さんの生活指導などです。
  • さらにスキルアップを目指す場合は、透析看護認定看護師や透析技術認定士などの資格を取得することがおすすめです。これらの資格は、透析実務経験や試験に合格することで得られます。
  • また、給料アップの方法としては、転職を検討することも一つの選択肢です。透析室で働く看護師は専門性が高いため、需要も高く転職市場では有利です。ただし、施設によって給料や待遇は異なるので注意が必要です。

2022年に新しく腎代替療法専門指導士という資格ができました。ご興味がある方はこちら

今回の記事では、透析施設で働く看護師の仕事内容について、ご紹介しました。透析看護師は、透析患者さんの生命を支える重要な役割を担っていますが、その一方で、決まった手順や時間を守るルーティンワークが多く、患者さんのストレスに対する心理的なサポートも必要とされます。透析看護師に興味のある方は、ぜひ透析施設での就職や転職を検討してみてください。この記事がお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました