透析治療の費用や医療保険について知ろう~透析室スタッフに知ってほしい診療報酬~

透析
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これから透析が必要と言われたけど、お金が心配。

病院で「これから透析が必要です」と言われて、これらかの生活に不安になった患者様も多いのではないでしょうか?

腎不全の治療には、移植以外では透析治療を継続して行わなければなりません。そのため治療にかかる費用は、これから透析治療が必要と言われた患者様やその家族にとって重要な問題です。透析治療の費用は高額であるため、医療保険の適用や支援制度を活用することが大切です。
患者様やご家族が安心して治療が出来るように、透析室スタッフにも「透析治療にかかるお金」の知識は大切だと思います。
この記事では、透析治療の費用や医療保険について解説していきます。

日本の保険制度

日本ではすべての国民が、何かしらの医療保険に加入しています。そして保険料を支払いご自身が病気になったときの治療費の負担を和らげる仕組みになっています。これが「国民皆保険制度」です。

保険に加入することで、医療や介護、年金などの費用を安くすることができるため、日本の保険制度は、安心して生活を送ることができる社会保障制度として、多くの人に利用されています。

保険の種類

  • 国民健康保険(市町村)
  • 健康保険(全国県境保険協会、各種健康保険組合)
  • 共済組合(各種共済組合)
  • 船員保険
  • 後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)
ドイリー
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国民健康保険は、他の健康保険を利用していないすべての方が加入します。主に自営業の方や退職された人が対象となります。健康保険は会社にお勤めの方や一定条件を満たしたパートの方も加入します。共済組合は公務員や学校教職員で船員保険、後期高齢者医療制度は75歳以上もしくは65歳以上で一定の障害がある方が対象になります。

診療報酬とは

病院やクリニック、もちろん透析施設は治療にかかる費用を保険者(保険料を集めて運営する組織)から受け取ります。この費用をどのような治療に対してどれだけの費用を支払うかを決めるのが「診療報酬」となります。

診療報酬制度とは、医療機関で提供される診療や手術、治療などの医療行為に対して、その対価として負担される金額を規則制度のことです。診療報酬は、国が定めた診療報酬点数表に基づいて算定されます。

また、診療報酬制度には、患者さんの負担を軽減するための自己負担割合や、医療機関の診療報酬を調整する為の減点・増点制度などが設けられています。

診療報酬制度は、医療機関が適切な診療を提供し、患者さんが適切な医療を受けることを促進することを目的としています。診療報酬制度自体も改定が進められ、現在も改善されることで、より良い医療サービスが提供されることを目指しています。

診療報酬の仕組み

診療報酬では治療の種類・使った薬剤などによって価格が決まります。診療報酬では、医療行為一つ一つに点数が決められており、点数を足し合わせて医療行為の価格を決定します。医療行為そのものの価格(技術料)と薬剤や医療材料の価格に分けられます。診療報酬では1点=10円として計算します。

透析治療での例

  • 技術料
    • 人工腎臓
      • 1 慢性維持透析を行った場合1~3
        • イ 4時間未満の場合 1805~1885点
        • ロ 4時間以上5時間未満の場合 1960~2045点
        • ハ 5時間以上の場合 2090~2180点
  • 医療材料
    • ダイアライザー
      • Ⅰa型 1480円
      • Ⅰb型 1500円
      • Ⅱa型 1480円
      • Ⅱb型 1520円
    • ヘモダイアフィルター 2630円

そして、その月に行った医療行為を集計して診療報酬明細書(レセプト)として保険者に請求し、病院やクリニックに診療報酬が支払われます。

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現在の診療報酬の換算レートは固定されていますが、公的医療保険制度が始まった当初は「人頭割団体請負方式」と言う換算レートが変動する方法で行われていました。人頭割団体請負方式とは、診療報酬の合計を人数で割ったものを換算レートとしたもので、多くの治療を行うとその分換算レートは低くなると言うものでした。

診療報酬改定とは?

診療報酬は原則として2年に1回、改定が行われます。この改定は患者のニーズの変化や医療技術の進歩などによる診療報酬の見直しがおこなれます。近年、高齢者の増加などによって医療費が膨らんでおり保険者の財政を圧迫しております。これは透析医療でも同じことが起こっており、透析患者の増加・高齢化などにより、透析医療にかかる年間総額は約1.57兆円と言われております。そのため診療報酬改定の度に透析医療に関わる診療報酬は引き下げれています。

診療報酬の推移

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特に透析医療は、日本全体の医療費の約4%を占めるほど、医療費が増えています。それは、①透析技術が向上したことで透析患者さんが長生きできるようになった、②透析導入年齢が高くなり透析患者さんが高齢化してきた、などの理由があげられます。
そのため、透析医療分野での診療報酬は年々引き下げらております。

日本の透析医療に関する記事はこちら

医療費の窓口負担原則

病院で診察や治療を受けると、原則70歳未満の方で診療報酬の3割を支払います。70歳から74歳では原則2割、75歳以上では原則1割負担となります。

例:一か月の透析治療
患者一人につき外来透析で約40万円×0.3=12万円

しかし、これでは医療費が高額になってしまい支払が難しい方が出てきます。そのため高額医療費に対して自己負担額の上限が設けられています。これが「高額療養費制度」です。高額療養費制度は年齢や年収によって変わってきます。

例:年収770万円、70歳未満では自己負担額の上限は8万7000円となります。

特定疾病療養制度

透析医療の医療費ついては自己負担額があまりにも高額なため払えない人が多く出たため、高額療養費制度の特例で自己負担額を減らす仕組みがとられています。これが「特定疾病療養制度」となります。特定疾病療養制度により透析治療にかかる医療は1機関あたり1か月に1万円(所得よっては2万円)となります。

その他の特定疾病療養制度の対象の病気

  • 血友病
  • HIV
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特定疾病療養制度は「長期特定疾病」のことで、俗に「マル長」と呼ばれてます。

その他の助成制度

更に自立支援医療や都道府県によって独自の障害者医療費助成制度があります。この制度によって透析治療は高額医療ですが、自己負担が軽減されています。

自立支援医療制度(更生医療)

更生医療は、身体障害者手帳を持っている18以上方で、その障害を除去・軽減する治療を行う場合に、更生のために必要な自立支援医療費の支給を行うものです。自立支援医療費制度には①精神通院医療、②更生医療、③育成医療に分かれます。
透析患者さんは身体障害の治療の更生医療に該当します。

心身障害者医療費助成制度

障害がある方とその家族の経済的負担を軽減するため、医療機関を受診した場合の医療費の一部負担金を県と市町村で助成する制度です。

透析治療における診療報酬

透析治療では治療そのものが標準化されているなどの理由から、治療に使用した薬剤や医療材料、検査などをまとめて一定額が支払われる方法が取り入れらています(マルメ)
さらに、医療機関にコストのかかることに関して決められた要件を満たすことで診療報酬に追加で加算することができるようになっています。

透析医療においては、透析治療を必要とする患者さんが医療保険に加入している場合、その治療費は日本の医療保険でカバーされます。

具体的には、透析治療に必要な医療機器や薬剤、人件費などの費用が、国民健康保険や厚生年金保険などの医療保険から補償されます。ただし、自己負担分や限度額のある保険もあり、それぞれの保険によって異なります。

透析治療は、週に3回以上の通院が必要なため、治療費が高額になります。 しかし、医療保険や支援制度を上手に活用することで、その負担を軽減することができます。

まとめ

透析治療は、患者さんとその家族にとって負担の大きい治療法ですが、医療保険や支援制度を上手に活用することで、負担を軽減することができます。また、透析治療を必要とする人々が安心して治療を受けることができるよう、今後も医療制度や社会保障制度の充実に期待したいと思います。費用面だけでなく、身体面でも精神面でも患者様に安心して治療を受けていただけるように透析室スタッフは心がけなくてはいけないと思います。

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